弁護士見習いのドラマ

今週のお題「もう一度見たいドラマ」

『ビギナー』というドラマが20年ほど前に放送されていた。
殆どの話は覚えていない。
だから正確には「もう一度見たいドラマ」ではなく「もう一度見たいドラマの中の1話」になるかな。

出演はオダギリジョーさん、美村里江（ミムラ）さん、堤真一さん、奥菜恵さん等々、他にそうそうたる役者が脇を固める。

主人公たちは司法の学生じゃなかったかな。
現在進行形の裁判や過去の判例を勉強していて、年齢、経歴のマチマチなメンバーが、様々な角度から法律や法廷に向きあうドラマ。

見返したことはないし調べてもいないので、凄く記憶に残っているのに、そのドラマのその1話しか覚えていない。
なんかさ見返したり調べたりすると、記憶違いとかで幻滅するのも嫌だという、なんとも女々しいヤツですみません。

※ここからはアタシの記憶なので、実際にはちょっと違うかもしれませんので、悪しからずご了承ください。

ある夫婦が金に困り公園に住み着いていたという物語。
飢えをほんの少しの小銭と公園の水で凌いでいた。

その夫婦の妻が死んでしまった。
死因は絞殺。飢餓が原因による衰弱で「殺してください」と懇願されて殺したと夫が自白。
一緒に暮らしていた夫が殺人で捕まる。

メンバーはその殺人に情状酌量の余地があるかないかで揉める。

夫は最後のお金でアンパンを買ったという事実が判明する。
妻の為にアンパンを買ったと言うが、妻からアンパンを食べた形跡がない。
つまり夫は自分で食べて妻を生かすつもりが最初からなかったのではないか。
いやいや最後まで妻のためを思っての行動だ。
果たしてそのアンパンを最後に食べたのは夫婦のうちのどちらなのか、ということでメンバー内の殺人動機の考察は更に揉める。

確か最終的には殺人罪として実刑が下ったと記憶している(ドラマの中の話ね)。

法廷で裁判官が判決を言い渡し、犯人である夫に「最後に何か言うことはありますか？」と聞く。

犯人である夫は、ゆっくり喋りだす。

お腹を減らした妻の為に、最後の金でアンパンを買ったが、妻は咀嚼する力もなく食べれなかったので公園の水を与えたら、妻は「美味しい、ありがとう」と言った。
その後暫くしてから「私を殺してください」と言った妻が辛そうだったので殺した。
夫は「この世で最後に口にする物と知っていたなら、アンパンではなくジュースを買えばよかった」と悔いる。

そんな感じだった。
ディテールも覚えていないが、目から水が沢山出たことは今でも思い起こせる。

普段意地の悪い考え方をする私も、この話については、ここが破綻してるとか、軸がぶれてるとかそういうの考えない。

今こうしてタイピングしていて気付いたことは、その時の自分の何とも言葉に出来なかった感情。
今の私ならそれを代弁できる。

人の作った枠組みは所詮人が思いつく程度の事で、人間は人間が思うよりもはるかに説明のできない感情や行動がある。
それに対しての評価軸を持ち合わせていないから、それは一旦無視して既存の枠に無理に入れる事しかできない。

以上でーす。

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